2026年3月13日、兵庫県トラック協会 青年部協議会のセミナーにて、当協議会 理事・安住宗一郎が「排出量を資産に変える 攻めの運送経営」をテーマに講演しました。荷主が運送会社を選ぶ基準に“脱炭素”が加わり始めた時代に、中小運送事業者がとるべき具体策を解説。本講演の様子は、後日、物流専門紙『物流新時代』にも掲載されました。
一般社団法人 関西GX推進協議会(代表理事:宇都宮涼子、以下「KGX」)は、2026年3月13日、兵庫県トラック協会 青年部協議会が主催するセミナーにお招きいただき、当協議会 理事の安住宗一郎(株式会社Blue〈京都府〉代表取締役)が講演を行いました。テーマは「排出量を資産に変える 攻めの運送経営 〜荷主から選ばれ続けるための『カーボンクレジット』活用戦略〜」。脱炭素を負担ではなく競争力に変える視点から、運送業界の現場で実践できる具体策を解説しました。本講演の様子は、後日、物流専門紙『物流新時代』第284号(2026年5月18日発行)にも取り上げられています。
GX(グリーントランスフォーメーション)とは
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料中心の産業・社会構造を再生可能エネルギー中心へと転換し、経済成長と脱炭素を同時に実現する取り組みを指します。運送業においては、燃料費の削減、荷主からの受注維持・獲得、補助金・融資の活用、人材採用力の強化といった経営課題と直結する、競争力そのものに関わるテーマです。
セミナーの概要
| 主催 | 兵庫県トラック協会 青年部協議会 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年3月13日 |
| 登壇者 | 安住 宗一郎(一般社団法人 関西GX推進協議会 理事/株式会社Blue〈京都府〉代表取締役) |
| テーマ | 排出量を資産に変える 攻めの運送経営 〜荷主から選ばれ続けるための「カーボンクレジット」活用戦略〜 |
| 関連掲載 | 物流新時代 第284号(2026年5月18日発行) |
講演の要点①:運送会社を選ぶ「4つ目の基準」
安住氏はまず、荷主が運送会社を選ぶ基準の変化を指摘しました。これまで選定基準は主に①価格 ②納期 ③品質の3つでしたが、ここに④脱炭素という新たな基準が加わり始めている、という見立てです。
「環境活動を頑張りましょう、という話ではありません。『GX』を武器に、どうやって運送会社の競争力を高め、荷主から選ばれる企業になるのか——経営に直結する話です」と、GXを競争力の観点から捉え直す重要性を強調しました。
講演の要点②:脱炭素を迫る「3つの圧力」
続いて、いま企業に脱炭素対応を迫っている圧力を、3つの方向から整理しました。
- ① 顧客・取引先からの要請 ― 大企業は国際的な脱炭素目標に参加しており、自社だけでなくサプライチェーン全体(Scope3)でCO₂削減を求められる。取引先である運送会社にも脱炭素対応が求められる。
- ② 金融 ― 企業の脱炭素の取り組みが、融資条件や金利に影響するケースが出てきている。対応の有無が資金調達に関わる。
- ③ 政策と市場 ― 欧州では「炭素国境調整措置(CBAM)」が導入され、CO₂排出量の多い製品に追加コストがかかる仕組みが始まっている。対応しない企業ほどコスト負担が増していく。
講演の要点③:削減を「資産」に変えるカーボンクレジット
その上で安住氏は、脱炭素対応を具体的な収益・資産へ転換する手段として、カーボンクレジットを解説しました。
「カーボンクレジットは、いわば二酸化炭素の“株券”のようなものです。株式市場で企業の価値が株として取引されるように、CO₂の削減量を第三者機関が認証し、クレジットとして取引できるようにする仕組みです」と説明。運送業界で実践できる具体策として、次の活用事例を紹介しました。
- 共同配送 ― 物流を効率化してCO₂を削減し、その削減分をクレジットとして認証できる可能性
- 配送ルートの最適化(IT活用) ― 走行距離を減らし、燃料コストとCO₂を同時に削減
- 車両更新(EV・デジタコ導入) ― 燃費改善分をクレジット化し、設備投資の回収につなげる
登壇者コメント
運送業界の現場で一番お伝えしたいのは、脱炭素は「コスト」ではなく「営業武器」になる、ということです。荷主が運送会社を選ぶ基準が、価格・納期・品質に加えて“脱炭素”へと変わり始めている今、動いた会社が選ばれます。
難しい制度の話で終わらせず、「明日から何をすればいいか」を現場の言葉でお渡しする。共同配送やルート最適化、車両更新——やり方次第で燃料費を下げながらCO₂を減らし、その削減を数字(クレジット)に変えられます。これからも業界ごとの勉強会を通じて、中小企業のGX実装を後押ししていきます。
参加者にとっての意義
本セミナーは、参加した運送事業者が「自社の現在地」と「最初の一歩」を具体的に持ち帰れることを重視しました。燃料費という日々のコストを起点に、補助金・金融・荷主対応・採用までを一本の線でつなぐ視点は、経営判断に直結する実用的な内容として受け止められました。脱炭素を“守りのコスト”ではなく“攻めの経営戦略”として位置づける考え方が、参加した運送事業者から関心を集めました。
業界・社会への意義
物流は、日本のサプライチェーンを根底で支える社会インフラです。その担い手である中小運送事業者が脱炭素に踏み出すことは、荷主企業のScope3削減、ひいては日本全体のカーボンニュートラル(2050年目標)に直結します。2026年4月には日本版排出量取引制度「GX-ETS」が本格稼働し、CO₂排出に経済的価値・コストが結びつく時代に入りました。地域の業界団体と専門組織が連携し、現場の言葉でGXを翻訳する本取り組みは、関西から全国へ広がりうる実装モデルの一つです。
関連用語の解説
- GX(グリーントランスフォーメーション):化石燃料中心の構造を再生可能エネルギー中心へ転換し、経済成長と脱炭素を同時に実現する取り組み。
- Scope3:自社の直接排出(Scope1)・購入電力等による間接排出(Scope2)以外の、サプライチェーン全体で生じる排出。荷主にとって運送委託先の排出はScope3に含まれる。
- カーボンクレジット:CO₂の削減・吸収量を第三者機関が認証し、取引可能にした“排出枠”。削減努力を資産・収益に変える仕組み。
- GX-ETS:日本版の排出量取引制度。2026年4月に本格稼働。CO₂排出に経済的価値・コストを結びつける。
- CBAM(炭素国境調整措置):CO₂排出の多い輸入品に課金するEUの制度。国際的な炭素コストの広がりを象徴する。
よくある質問(FAQ)
共同配送やルート最適化による効率化、EV・デジタコ導入、エコドライブ、太陽光(PPA)の活用などが代表例です。いずれも燃料・電力コストの削減と、荷主からの受注維持・獲得につながり、削減分をカーボンクレジットとして資産化できる可能性もあります。
大企業はサプライチェーン全体の排出量(Scope3)の削減を求められており、委託先である運送会社の排出も対象に含まれるためです。その結果、価格・納期・品質に加え、脱炭素対応が「4つ目の選定基準」になりつつあります。
CO₂の削減量を第三者機関が認証し、取引できるようにした仕組みで、いわば「CO₂の株券」のようなものです。共同配送やルート最適化などで生まれた削減分を、資産・収益に変えられます。
はい。GX-ETSの直接の義務対象は大規模事業者ですが、その取引先となる中小企業にもScope3対応の要請が広がっています。早く動いた会社ほど、荷主から選ばれる立場に立てます。
はい。業界団体・自治体・企業向けに、現場に即したGX勉強会/セミナーの開催や、理事への講演・取材を承っています。記事末尾のお問い合わせ先までご連絡ください。
今後の展望
KGXは、トラック協会をはじめとする業界団体・自治体との連携を通じて、各業界の現場に即したGX勉強会・実装支援を継続して展開していきます。CO₂排出量の算定からカーボンクレジット活用、カーボンオフセット、補助金申請、人材育成までを一気通貫で伴走し、関西の中小企業の脱炭素移行を加速させます。
主催者の皆さまへ
このたびは、貴重なセミナーの機会をいただきました兵庫県トラック協会 青年部協議会の皆さまに、心より御礼申し上げます。運送業界の現場で日々奮闘される皆さまとの対話は、私たちにとっても大きな学びとなりました。今後も、業界の現場に即したGX実装の伴走を続けてまいります。
一般社団法人 関西GX推進協議会 概要
| 正式名称 | 一般社団法人 関西GX推進協議会(英語表記:Kansai GX Promotion Council) |
|---|---|
| 設立 | 2025年8月15日 |
| 法人形態 | 非営利型 一般社団法人 |
| 所在地 | 〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町1丁目6-1 シティタワー大阪2208 |
| 代表理事 | 宇都宮 涼子(株式会社Gato Art 代表取締役/GXアーティスト) |
| 事業内容 | GX導入・経営支援/CO₂排出量算定・カーボンクレジット活用・オフセット支援/補助金・助成金活用支援/GX人材育成・社内浸透/共創・ネットワーク推進/広報・PR・認知支援 |
| 公式サイト | https://www.kgxpf.or.jp |
本件・勉強会のご依頼に関するお問い合わせ先
一般社団法人 関西GX推進協議会 広報担当
Email:info@kgxpf.or.jp
公式サイト:https://www.kgxpf.or.jp
※業界団体・自治体・企業向けのGX勉強会/セミナーの開催、理事への取材・講演のご依頼を承っています。運送業をはじめ、各業界の現場に即した内容でご提供します。お気軽にお問い合わせください。


