なぜGXの団体が、採用支援やホームページ制作までするのか|KGXの考え方

一般社団法人 関西GX推進協議会(KGX)は、運送・倉庫の採用支援「ドライバーブリッジ」や、ホームページ制作「サステナブルウェブ」といった、一見するとGXとは無関係に見える取り組みを行っています。なぜGXの団体がそこまでやるのか。その考え方を、このページにまとめました。

KGXの考え方

一般社団法人 関西GX推進協議会は、「GXに取り組みましょう」と呼びかける団体ではありません。

企業が実際に抱えている経営課題——人手不足、コスト、情報発信——を入口に、その解決策の中にGXを組み込みます。

会社を良くする。その結果として、排出量を算定し、削減し、説明できる状態にする。大切にしているのは、この順番です。

「GXに取り組みましょう」では、会社は動かなかった

KGXは2025年10月以降、兵庫県トラック協会の支部・青年部会や、尼崎商工会議所などで、運輸・物流業界に向けたGX勉強会やセミナーを重ねてきました。

CO₂排出量の算定や燃費改善についてお話ししようと伺った先で、繰り返し返ってきたのは、別の言葉でした。

「やった方がいいのは分かる。でも、今それどころじゃない」

「そもそも運ぶ人がいない」

「募集をかけても、応募が来ない」

環境の話をしに行った先で、人の話を聞いて帰る。これが何度も続きました。

ここで私たちは、方針を変えました。脱炭素の提案を続けるのではなく、まず目の前で困っていることから一緒に取り組む。そう決めたのが、今のKGXの形につながっています。

だから、入口を「経営課題」に置いた

中小企業にとって、GXは「やった方がいいが、後回しになるもの」の代表格です。理由ははっきりしています。やっても、短期的に会社が良くならないと思われているからです。

ならば、順番を逆にすればいい。先に会社が良くなる取り組みを一緒にやり、その中にGXを組み込む。KGXが提供しているものは、すべてこの考え方で設計されています。

入口(経営課題) KGXの取り組み つながる先(GX)
人が採れない ドライバーブリッジ 輸送効率・燃費・定着率の改善
Webから問い合わせが来ない サステナブルウェブ 通信量由来のCO₂削減と、取り組みの開示
荷主から排出量を聞かれた CO₂排出量算定支援 Scope3対応・オフセット・J-クレジット

ドライバーブリッジが、GXにつながる理由

ドライバーブリッジは、運送会社・倉庫事業者向けの採用支援です。求人掲載費は0円で、企業にお願いするのは最終面接だけ。一見すると、環境とは何の関係もない取り組みに見えます。

しかし、運送・物流の脱炭素は、人材が確保できていることを前提にしか成立しません。理由は3つあります。

1|人が足りないと、輸送効率そのものが落ちる

共同配送、モーダルシフト、積載率の改善。輸送分野のCO₂削減策として挙げられるものは、いずれもそれを回す人がいて初めて機能します。ドライバーが不足すれば便を分けざるを得ず、空車回送も増える。人手不足は、そのまま燃料消費の増加として現れます。

2|2024年問題以降、輸送能力の確保が排出量を左右する

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用されました。1人あたりの輸送量に上限ができたことで、同じ荷物を運ぶために、より多くの人と車両が必要になっています。人材を確保できるかどうかが、車両を増やさずに輸送を維持できるかどうかを決めます。

3|定着率が上がると、燃費が改善する

エコドライブ教育、車両の適切な扱い、ルートの習熟。これらは続けて働いてもらって初めて成果が出る取り組みです。人が入れ替わり続ける職場では、教育に投じたコストが排出削減として蓄積しません。採用と定着は、運送業における最も現実的な排出削減施策のひとつです。

そしてもう一つ。採用が回り始めた会社には、次の一手に取り組む余力が生まれます。荷主から排出量の提出を求められたとき、「今それどころじゃない」と答えずに済む状態をつくること。それが、採用支援から始める本当の狙いです。

サステナブルウェブが、GXにつながる理由

サステナブルウェブは、「ホームページを、AIに見つかる場所に。CO₂を、説明できる数字に。」を掲げる、ホームページの軽量化・高速化サービスです。こちらも、環境の取り組みには見えにくいかもしれません。

1|ページの表示にも、電力とCO₂がかかっている

ホームページを表示するたびに、データが通信され、サーバーと端末で電力が消費されます。ページを軽くすれば、その分の排出量は減ります。KGXでは国際的な算定モデルであるSustainable Web Design Model v4(SWDM v4)に対応し、削減量を測って、数字で示せる形にしています。「環境に配慮しています」で終わらせないための設計です。

2|取り組みが伝わらなければ、無いのと同じになる

省エネ設備を入れた。排出量を算定した。それでも、Webサイトに載っていなければ、取引先にも求職者にも伝わりません。近年は、検索エンジンだけでなく生成AIが企業情報を要約して答える場面が増えています。自社の取り組みが、検索にもAIにも拾われる状態にしておくことが、GXの成果を事業価値に変える条件になりつつあります。

3|「よく見せる」ためではなく、「実態と一致させる」ために

KGXが情報発信で重視しているのは、環境に良い企業に見せることではありません。実際に行っていることを整理し、事実として確認できる内容を伝えることです。根拠のない表現は、企業にとってリスクにしかなりません。実態と表現を一致させることを、サステナブルウェブの前提に置いています。

CO₂排出量の算定は、ゴールではなく共通言語

KGXの中核事業は、CO₂排出量の算定支援です。ただし算定そのものが目的ではありません。

GHGプロトコルにおいて、荷主企業が算定するScope3のカテゴリ4「輸送・配送(上流)」には、委託先である運送会社の排出量が含まれます。つまり、荷主が自社の排出量を開示しようとすれば、必然的に委託先の数字が必要になります。排出量を出せることが、取引の前提条件に近づいている——これが現在地です。

算定した数字は、燃料コストの見直しにも、補助金の申請にも、取引先への説明にも使えます。数字を持っていることが、社外と話すための共通言語になります。

ゴールは「一社に一人、GX人材を。」

ここまでの取り組みは、すべて入口です。KGXが最終的に目指しているのは、「一社に一人、GX人材を。」という状態です。

これは、すべての企業にGX専門部署をつくるという意味ではありません。自社のエネルギー使用量や取り組みを把握し、経営者や現場と共有し、必要に応じて外部の専門家へ相談できる人を、社内に一人つくる。その一人がいることで、GXは「誰かがやるもの」から「自社で動かせるもの」に変わります。

採用支援も、Web制作も、算定支援も、この一人が生まれるための入口です。順番にすると、こうなります。

  1. 経営課題を一緒に解く/採用、Web、コスト。会社にとって先に効くところから着手します。
  2. 自社の数字を見る人が生まれる/取り組む過程で、エネルギーや業務の数字を扱う担当者が社内にできます。
  3. その人が、一社に一人のGX人材になる/算定・削減・説明を、自社で回せる状態に近づきます。
  4. 会社が、自走する/荷主対応も、補助金活用も、情報発信も、外部に丸投げせず判断できるようになります。

私たちが、やらないこと

考え方を示す以上、やらないことも明記しておきます。

  • 根拠のない環境訴求を、企業の代わりに作ることはしません。実態と表現を一致させることを前提にします。
  • 補助金について、採択を保証するような説明はしません。制度の要件と、申請に必要な準備を正確にお伝えします。
  • 削減効果を、測定できないまま数字で語ることはしません。測れるものを、測れる範囲で示します。
  • GXへの取り組みを、入会や契約の条件にはしません。採用の課題解決からお使いいただいて構いません。

よくあるご質問

なぜGXの団体が、採用支援やホームページ制作までするのですか。

運送・物流の脱炭素は、人材が確保できていることを前提にしか成立しないためです。人手が足りなければ便を分けざるを得ず、空車回送が増えて燃料消費は増加します。また、取り組みがWebで伝わらなければ、取引先にも求職者にも届きません。KGXは経営課題を入口に置き、その解決の中にGXを組み込む方針をとっています。

GXの取り組みを同時に始める必要がありますか。

必要ありません。採用や情報発信など、自社にとって優先度の高い課題からお使いいただき、その先の取り組みはご判断いただければと考えています。GXへの着手を利用条件にはしていません。

「一社に一人、GX人材を。」とは、どういう意味ですか。

すべての企業にGX専門部署をつくるという意味ではありません。自社のエネルギー使用量や取り組みを把握し、経営者や現場と共有し、必要に応じて外部の専門家へ相談できる人を社内に一人つくる、という考え方です。その一人がいることで、GXは「誰かがやるもの」から「自社で動かせるもの」に変わります。

CO₂排出量を算定すると、何が変わりますか。

荷主企業がScope3のカテゴリ4「輸送・配送(上流)」を算定する際、委託先である運送会社の排出量が必要になります。数字を出せること自体が取引条件に近づいています。また算定した数字は、燃料コストの見直しや補助金の申請、取引先への説明にも使えます。

ご相談を受け付けています

一般社団法人 関西GX推進協議会

〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町1丁目6-1 シティタワー大阪 2208

https://kgxpf.or.jp/contact/

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